農地内を走行する自律走行型作物数カウントロボットを開発!作物の育成診断DX化にCuGo活用開始

事例紹介 事例紹介CuGo

はじめに

画像から観測できる作物の特性の研究で、農業のDXを推進するQuantomics社。今回品種改良のために必要な作物の育成データを取得する「自律走行型作物数カウントロボット」開発のため、CuGo導入に至った背景、導入時に感じた点や使い心地、今後の展望についてお話お伺いしました。

CuGo活用ロボット開発の背景

現在開発しているのは、農地での作物の生育調査を目的にした自律走行型作物数カウントロボットです。

Quantomicsは作物の育成状況を画像から正確に把握する独自技術を持っています。作物の品種改良をする栽培試験時、この技術を利用して試験中の作物の育成状況を診断することで、どの品種が良いかを的確に判断でき、品種改良の効率化が可能です。

Quantomics 代表取締役 坂本様

品種改良は育成状況の確認のため、育った作物の数をカウントする作業があります。たとえば小麦の場合、穂の数を数える作業が必要です。小麦が育つ夏、炎天下の中細かな小麦の穂の数をひとつずつ数える作業がいかに過酷かは容易に想像がつくと思います。

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栽培試験ではどの作物でもできた作物の数のカウントは必要で、広大な農地を見回って数を数える作業は本当に地道で大変です。そのため品種改良を行う農業試験場は、どこも人手不足に直面しています。

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Quantomicsはこのような作物の育成状況のデータ収集をロボットで代替することで、過酷な作業からの解放、人手不足の解消、データ解析による品質改良の精度向上を目指しました。

ロボットによる代替の方法は複数考えられます。ドローンによる撮影、定点カメラ、農地内の自律走行ロボットです。この方法のうちドローンは解像度不足で解析ができなかったり、定点カメラは限られた範囲の作物の数しかカウントできないという問題がありました。

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農地内を走行するカメラを搭載した自律走行ロボットが最適だと判断し、これをを実現するため、不整地走行向けのプラットフォームを検討しはじめました。

CuGoの導入に至った理由

不整地向けクローラとして、農地に適したクローラでかつサイズがちょうど良いこと、簡単に取り付けられそうだったこと、改造のしやすさから、CuGoは今回の目的にぴったりだと思い、まずは1台試しで使ってみようと導入しました。また自律走行型作物数カウントロボットが実用化され、将来的に量産する際の製造コストも考えると、安価で実現性が高かったことも決め手でした。

農地を走行するCuGo

実はCuGoを使う以前は電動ではなく、農業用の運搬車を利用し、農地内を歩いて撮影していました。運搬車は重く、広い不整地の農地を引っ張て動かすのは大変で現実的ではないと実感していました。

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CuGoであれば自律走行のプログラムも自社で自由に開発できて改造がしやすく、テスト開発をすぐにスタートさせられました。

CuGo導入時に感じた点

購入したのは、ラジコンタイプのCuGo遠隔リモコンロボットキットです。取り付けに必要なアルミフレーム等の部品やコントローラがキットになっており、自分で部品を用意する必要なくすぐに組み立てられました。

CuGo遠隔リモコンロボットキット

またマニュアルがしっかりしていて、わかりやすかったです。組み立てはだれでもできるものだと感じました。

「自律走行型作物数カウントロボット」テスト開発機

想定通り改造がしやすい点も、とても良かったです。CuGoを利用して自律走行型作物数カウントロボットを制作する時に、特に重要な点はカメラの安定性でした。揺れがあると画像解析ができないからです。カメラのジンバル(手ブレ補正機)の固定方法を工夫して安定させることを目指しました。

CuGo導入後の効果

テスト走行を1、2回してみたところ、イメージ通りに走ってくれました。走破性が非常に高く、ハウス内や通常の畑は問題ないのですが、土がとても柔らかい場所まで楽々と走破するため、そのような場所を走る時はカメラが揺れる場合がありました。どんな場所でも安定して撮影ができるよう、揺れ防止のためのカメラ側の調整をしたいと思っています。

トマト農園内をテスト走行する「自律走行型作物数カウントロボット」

カメラの調整とともに、これから長時間のテストをしてバッテリーの耐久性の他、ぬかるみの走行性、小石の上の走行性などを確認予定です。バッテリーは不足があれば増設を検討しています。走行性に関してはテスト走行を見た限り大丈夫そうだと感じています。

また現在は自律走行プログラムを自社開発し、改良している最中です。自律走行だと畝にあたって止まることもあったため、内輪差外輪差を確認しながら、きちんと止まらずに自律走行できるプログラムを組めるようにする必要を感じています。

今後は「進む」という指示を与えたQRコードを農地内に貼って、進ませる方法なども考えています。

CuGoの活用で今後目指したいこと

現状開発されている農業ロボットの多くは、収穫や運搬のサポートロボットだと思います。ですが収穫や運搬以外にも、育成状況の把握も負担の大きい農作業です。また、より育てやすくておいしい品種を見つける品種改良は農業の基盤とも言えます。Quantomicsは作物の状況把握をきちんとすることに注力することで、農作業の負担軽減と農業のDXを推進したいと考えています。

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今回開発した自律走行型作物数カウントロボットは作物のカウントがメインテーマですが、作物の病気をいち早く発見することにも使いたいというお話も頂いており、応用できると考えています。

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多量のデータがある方がデータ解析の精度が上がるのは当然ですが、一方で現実的には撮影可能な範囲のデータで解析の精度を向上させることも必要です。作物のカウント以外にも、たとえばトマトの色や、熟度を上げる必要がある時と必要でない時の判断等ができるようになればと考えています。

そのためにはどれだけうまくカメラを使って撮影ができるかが重要です。

難易度が高いため運用に耐えられるレベルを目指してこれから実験を繰り返していくことになりますが、CuGoのような農地に最適で改造可能な足回りが入手できたため、様々な実験に応用できそうだと楽しみに思っています。

ありがとうございました!

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