岩手大学の学生が独自に「CuGo」にArduPilotを使用した自律走行ロボットを開発。農業や高齢化による作業軽減化を目指す。

ニュースリリース 事例紹介CuGo

少子高齢化が日本社会に進行しつつあります。働き手が高齢化し、子供の数がこのまま減少し続けてしまうと、日本の農業はやがて破綻してしまうかもしれないと日々様々なメディアで囁かれています。そのような背景から、今、農作業のロボットを用いて、いかに自律化させるかを考え、独自に研究をしている岩手大学の学生である森様からお話を伺いました。

きっかけは研究室の調査ロボット

山形大学農学部生産機械研究室にも所属する森様。研究室では元々ドローンを用いて、圃場のセンシング、すなわち、土の状態やタネの発育などを自動で調べる研究をされておりました。しかし、ドローンを使ったセンシングは、高い位置から撮ったデータは圃場や畑がとても小さくなってしまったり、雑草や葉っぱで隠れる場合も多く、間近で撮影しないとはっきりとデータを取ることが困難な事実に直面しました。この問題を解決するためには、撮影自体には時間がかかりますが、小型で地上を間近で走るクローラーロボットが有利であると結論に至り、開発に着手されたとのこと。

自律走行に必要なソフト自体は、ドローンで培ったArduPilotをそのまま採用したそうですが、一番の難問は「実用性のある車体がない」ことでした。森様は当初、市販のラジコンカーにArduPilotを組み込んで自動走行をテストされたそうです。しかし、ちょっとした障害物を乗り越えられなかったり、少しの事でもバランスを崩し、安定が悪くデータ収集どころの話ではなかったそうです。研究自体に関しては、途中で研究を止める方針になってしまい、予算的にも続けることが困難になったということです。

そんな時に、Twitterを通じて弊社の走破性の高い汎用クローラ「CuGo」を知りCuGoを使った自律走行ロボットを思いついたそうです。CuboRexでも、ちょうどバージョン変更の時期でもあり、前バージョンV2は廃盤する方針で、これも何かのご縁とV2は森様にプレゼントさせて頂きました。研究室自体が当初の研究を辞める方針になったこともあり、森様はCuGoの大きさから「農業用のカゴを乗せられる」事に注目され、独自に「農業用の運搬ロボット」を作る事に方針を転換されました。それまで使っていたラジコンのクローラを取り外しCuGoを使い走破性の高い自律走行可能なロボットを完成させました。

農地を快適に走行する自律走行ロボットで農作業を自動化

2021年3月にCuGoを用いた組み立てロボットを開発され、ArduPilot専門のアプリ「Mission Planner」で自律走行経路を作成し決められたルートを動かす実験が行われました。具体的には5キロ位の砂袋を乗せた状態で走行、山形では雪がまだ積もっていた時期でもあり雪の積もった農地でも実験が行われ、雪の深さが10センチ以下であればスイスイと快適に動き、雪の中でもスリップしないCuGoの走破性の高さが実証される結果に、森様は農業の自動化へのイメージを膨らまされました。

ardupilotで走行ルートを入力の画面

森様が将来的に考えられているのは、農作業を取り組んでいる人たちの労力を減らすためのアイデアです。まず、農作業の多くは、人の手で行うことを前提としています。例えば肥料撒きをしている途中で、肥料が手元からなくなった際に、CuGoを使ったロボットで、肥料まきや苗、農業資材を圃場で作業している農家様に逐次届けるというアイデアです。現在、農家様が圃場に一度に手で持っていける農業資材は限られています。肥料を圃場に散布する場合、肥料がなくなればまた倉庫まで取りに行かなければなりません。そこで倉庫に戻らずともデータセンター的な設備室から自動にロボットが肥料を乗せて作業している農家様の元に届けることを自動化。これにより労働力を軽減化できるのではないか?というアイデアになります。

CuGoは高い走破性に加え、シンプルな走行であれば一般的に複雑なデータを書く「ROS」を用いずともできる「ArduPilot」で自動走行を実現させることができる理想的な開発プラットフォームです。これからもさまざまな自動走行ロボットを開発し、高齢化の進む農家様を助けるロボットを開発を目指す学生様や研究室様、企業様のお役に立てればと思っております。

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